肥料

最初に大切なこと:冬剪定は例外ですが肥料をあげているのに春~秋に成長が悪い、弱っている株には追加の肥料を与えないでくださいNG。枯死する可能性が高くなります。★★★の項目を再チェックして、改善しなければ冬に植え付けのページに記載してあるように土替えをお勧めします。 窒素は枝と葉の成長に、リン酸は花に、カリウムは根の成長に役立ちます。

 

有機肥料★★★

まずはホームセンターなどで販売されている有機肥料で十分です。2月、6月、9月年3回与えます。土20Lに対して100g(100㏄)6月、9月は少なめに★★★。株の大きさによって量は加減してください。 有機肥料は発酵分解によって、化学肥料は水に溶けることによって効果を示します。有機肥料も発酵分解は温度に左右され気温が高いときは早く分解されますので7~8月では効きすぎる場合がありますので注意が必要です。

水やりのところで記載していますが、鉢栽培で水を多くあげると肥料が流れますので、大きな株の場合は4月、7月、10月にも半量足してください。★★

地植えで1-2月(または積雪前)に30cmぐらい離れたところに30cmx30cm程度の穴を掘り、土に堆肥、肥料を混ぜて埋め戻します。翌年は別のところに穴を掘り同じように肥料を入れます。6月、9月は株元20、30cmのところに表面の土3-5cmと混ぜるように入れます。12月以降も花が咲く品種であればさらに11月にも少量。★★★

「バラ専用肥料 バラの根はり、シュートの発生、花付が良くなります」との記載で高い肥料を売っていますが、有機肥料に発酵牛糞などを混ぜた”カクテル肥料”です、何が配合されているのか確認して使いましょう。いろいろ買い足す必要がないので時間のない方には便利です。★

蕾がたくさんついたら液肥を1週間おきに2,3度与えます。液肥は花弁を成長させるリン酸肥料が多く入っています。★

牛糞堆肥:弱い窒素、リン酸、カリ肥料と共に微量肥料、細菌も入っています。是非与えてください★★。土壌改善のページを参照ください。

発酵分解されていない有機物は土中で分解されるために土中の窒素分を消費しますので与えてはいけません。NG例:ワラ、もみ殻、ぬか、野菜くずなど。但し、窒素分を消費することを前提に多めの窒素肥料を追加し、土中の酸素供給を増やすために刻んだワラ、もみ殻を与えることは有効と思います。

株から30-40cmのところに深さ30cmぐらいの穴を掘ります。

牛糞堆肥(左から下の色の濃い部分)、ピートモス(その上の色の薄い部分)、有機肥料(ショベルの上)を加え、穴の中でざくっと混ぜます。

左の写真の右下の堆肥を混ぜてない土を表面にかぶせ、軽く踏んでならします。


有機肥料の応用

このサイトでは菜種油の搾りかすを発酵させたものに骨粉などを混ぜたものと規定します。ほとんどが窒素:リン酸:カリの比率が8:8:8などのように平行配分肥料です。良質の肥料で微量元素も含まれています。ベース肥料として用い、状況により骨粉などを追加します★★。

ペレット状に固められた菜種油かす有機肥料は分解速度の調整が可能です。①地表に置く、②半分埋める、③全部埋めるの3つで分解速度が異なります。与える水の頻度によって進行は前後しますが、①は分解が遅いため弱く長く効きます。③は分解が早く強く短く効きます。

化学肥料★★

冬に牛糞堆肥をすきこんでいる土であれば使用しても問題ありません。土が硬くなることもないので心配無用です。効果の強さ、持続をコントロールしやすい肥料です。水に溶解して、イオン化した栄養素が1日後から効きはじめます。肥料切れに気が付いたときや晩秋最後の肥料やりには化学肥料が効きが早く、効果も1-2か月と早く終わるので便利です。袋の表示で窒素:リン酸:カリの強さである、8:8:8とか14:14:14を確認して使いましょう。数字が大きいほど高濃度で、肥料やけ(枯れ)のリスクが高くなります。水に溶けて効きますので絶えず水をかぶっている状態ですと早く溶けて強力に効き、根にあたると肥料やけを起こしやすくなります。

つるバラの肥料

「肥料を与えると花が咲かない」という通常と逆の場合があります。つるバラに限らずバラの原則は「枝を伸ばしその成長が止まった時に先端に蕾を付け花を咲かせる」という原則があります。つるバラは枝はどんどん伸び、成長が持続している限り蕾はつけません。つるバラにとって花をつけることより成長する方が優先なのです。秋に少し返り咲きする程度の品種、四季咲きから一季咲きに変異したつるバラでは6月以降窒素肥料を切り、リン酸、カリウムも少なめにします★。もともと徒長しないで、自分で成長を止めるつるバラで秋にも咲く品種であれば夏以降も肥料をあげてかまいません。

液肥★★

多くの製品が8:12:6など花を咲かせるリン酸が窒素、カリ成分より多い肥料で、花を咲かせることに重点を置いた肥料です。

窒素、リン酸、カリがイオン化した”水溶液”ですので即効性ですが、鉢植えでは以後の給水により流れやすいので特に効果が短いです。地植えでは大雨が降らない限り土中に滞留しますので、鉢よりは長く効きます。地植えの場合は土壌改善のエアレーションで紹介した穴を通して土中に注げば地表の雑草に肥料を与えることなく、バラの根に届きます。

骨粉

リン酸成分のみの肥料です。枝を伸ばしたくないけど花が欲しい場合に使います。

よう燐

リン酸成分のみです。根に触れないと効果がありませんので根が伸びてくるまたは根のある部分の土に施します。骨粉、他の肥料と動き方が違いますので理解していないと意味がないです。

鶏糞

非常に安い有機肥料で産業廃棄物扱いですので一袋10kg50円とかです。牛糞堆肥、有機肥料より強く効きが早いため効果も持続しません。匂いもありお勧めしません。何haもの畑をもっているコスト重視の農家向けの基礎肥料と考えています。使うとすればペレット状に固めたものの方が使いやすいでしょう。発酵牛糞と異なり放線菌の効果は期待できません。

硫安

水に溶解しますので即効性の窒素だけの肥料で効果は短いです。芝管理にはよく使いますが、バラ栽培で窒素分だけを即効的に必要とする状況はほとんどなく、花を期待しない草用、緑葉植物の液肥と考えてください。

微量元素

マグネシウムMg、カルシウムCa、鉄Fe、ホウ素B、ケイ素Siなどです。多ければいいというものではなく、微量入っていれば増量してもそれ以上の効果はないです。有機肥料、発酵牛糞には原料、飼料にはいっていて、既に含まれていますので追加は不要です。化学肥料のみ与えている場合に補充を考えてください。各元素毎に補充というのも面倒なのでやはり全て含まれている発酵牛糞か有機肥料で十分です。自然の輪廻。