挿し木・芽接ぎ・接ぎ木

 このページはバラの苗を増やす方法です。自分で接いで増やした株が大きくなると楽しいです。

 バラの特許は日本、EU,米などPCT加盟国では国際基準をもとに各国の法律で規定されており、EU,各国で申請承認を得る必要があります。その国で特許が登録されていれば20年間は業(事業)としての繁殖、販売は禁止されています。登録年とカタログに記載されている作出年は必ずしも同じではないですが大きな違いはないと考えていいでしょう。日本では別に品種登録により30年間の育成者権が付与されます。特許期間、育成者権期間が終われば許可なく複製、販売できます。尚、販売されている新品種が必ずしも特許ならびに日本での品種登録、許可を受けているとは限りません。商標の使用を除けば30年を超える制限の可能性はないです。例えばイングリッシュローズのエブリン、シャリファアスマ、ヘリテージなどは誰でも増殖し、販売できます。特許期間内でも個人の趣味であれば合法的に増やすことができます、詳細はメール、オプチャからお問い合わせください。

挿し木

挿し木

5-6月, 10-11月枝を切って砂、ロックウール、小粒赤玉土などにさします。他のサイトにたくさん紹介されていますのでご参照ください。以下は他のサイトに記載していない大切な情報です。(とあるオプチャのノートには消去されないで残ってます)

①切断面の細胞を壊さない。挿す枝はよく切れるナイフで切り、断面の細胞を壊さないようにします。

②光合成と水供給 葉を3-6葉残しますが、残した葉が多いと水分の発散が多くしおれ、ひどいと枯れます。残す葉の量と切断面からの給水の量のバランスが大切です。しおれてくるようでしたら葉を減らしてください。途中で葉が黄変し落ちてしまうことがあると思いますが、そのまま続けてください。適温15-20℃。

②酸素も供給する。発根のためのカルス形成には酸素も必要です。水にどっぷりつかっているとカルス形成できません。水面に切り口が来るように調整してください。調整さえできれば水挿で発根します。珪砂、砂、ロックウールは水を適度に吸い上げバランスを調整してくれます。

③水替え 水が腐敗し細菌が増殖しないように1週間に1度は水替えをする。新しい水をあげることは酸素を含んだ水を与えることにもなります。

細い枝の方が成功率が高いですが、挿した枝より太い枝はその先に出てきません。待望のシュートも挿した枝が細ければシュートも細いです。太さ4~6㎜の2,3か月前に伸びてきた枝が発根率は高いです。

寒挿し 12-1月に剪定した枝を挿します。葉はないですが、上記の砂、ロックウールに挿したものは室内で管理します。ポットの土に挿した場合は戸外で管理しますが、凍結しそうなくらい寒い場合はビニール袋をかぶせますが、袋には通気穴をあけてください。また、ビニールで覆った場合は日光が当たると内部の温度が急上昇しますので、朝日中はビニールを外すか、15度以上にならないよう日陰においてください。根がないのに芽が出てきて失敗します。

注意:挿し木は接ぎ木に比べて簡単ですが、発根後も手間をかけてベストな状況に保たないと1-3年間の成長は遅いです。例えば土を加湿にすると根が伸びず栄養も吸収されないため葉がたくさんつかない、光合成もあまりできず、シュートが出にくい、出ても細いシュートのみです。花と同じDNAの根を持つOwn Rootとして好まれますが、ノイバラ以外の品種の根は過湿に弱く、根が張りにくいです。台木が必要で難しそうに見えますが接ぎ木、芽接ぎをお勧めします。そんなに難しくはないです。

スタンダード仕立ての台木 60cm~1.5mぐらい枝の頂点に株を作るスタンダード仕立てはまず必要な長さの台木作りから始めます。長くても枝分かれしていない枝は少なく、長ければ長いほど発根の難易度が上がります。長いと風で動きやすく発根を妨げますので支柱などに縛っておけば発根は難しくはないです。根が出て台木が成長すれば秋~冬に台木の先端に希望の品種を芽接ぎまたは枝接ぎします。この間長い台木からわき芽が出ますが、少しえぐるように芽の芯を取り除くと出てこなくなります。台木は曲がらないように支柱に20cm間隔ぐらいで縛りつけ、真っ直ぐ伸びるようにします。芽接ぎ、枝接ぎとも接合部が取れやすいので頭頂部がP字(円盤)型の支柱を立てて強風時にも接いだ枝に力がかからないように、また全体が倒れないようにします。この支柱作りが大変です。

 

スタンダードの台木用に棘なしノイバラの枝を挿し木したところです。1.2m2本、0.8m2本。家の裏の排水溝に挿したまま放置しています。ノイバラなのでこれでも発根します。

別のスタンダード台木に芽接したところです。背後は左のスタンダード台木を土に植え替えたところです。枝が曲がっていますが、最後支柱に結われば真直ぐになります。


枝接ぎ・芽接ぎ

芽接ぎ、枝接ぎの台木

枝接ぎ、芽接ぎにはノイバラなどの台木が必要です。台木はネットで購入できますが12月~2月の限定した時期になります。購入したとげなしノイバラ(ノイバラの突然変異種)を育ててローズヒップ(種)を採取し、自分で種から育てることもできます。この場合は好きな時期に使えますが、2月の種まきから、水、肥料やりなど手間ががかかります。ノイバラは長期の水浸や乾燥にも強く、成長も早いです。

 日本のノイバラは欧米のラクサ種に比べがん腫に感染しやすいとの情報がありますが、発生率1~2%で、高温多湿、高温乾燥に強く日本の気候にはノイバラを使うメリットの方が大きいと思います。

 ノイバラの新しい枝を挿し木して台木を作る方法があります。ノイバラの挿し木は簡単に発根します。スタンダード仕立てはこの方法で1~1.5mの台木を作成し、その後先端に枝接ぎ/芽接ぎします。

接ぎ木、芽接ぎ

接ぎ木、芽接ぎに共通した重要点です。

①作業の途中で接ぎ面を乾燥させない、汚染しない。切断面を乾燥させないように水をつけてください。台木、芽の切断面に土がつかないように、汚れたナイフを使わないで細菌が接ぎ面に入らないように。

②形成層を合わせる。多くのサイトに出ていますので。上手く合わせるためには穂木の太さは7mm以上必要です。合わせかたはそれぞれ2,3方法あり、ネットで見るとどれがいいのかわからなくなります。接ぎ木、芽接ぎとも形成層を合わせテープで巻いて密着させますが、その際に合わせていた形成層がずれる場合があり、またテープを巻くと接合面が見えなくなり、ずれたことがわからないです。ご注意ください。

③よく切れるナイフを使用する。形成層表面の細胞を壊さないためです。よく切れるナイフは力を入れなくてもすっと切れますので怪我の防止になります。クラフトナイフ、切り出しナイフを#4000番程度の砥石で研ぐとよく切れます。太いカッターナイフでも構いませんが、刃が薄く、ぐらつくので思ったところに刃が入りにくいです。

④接ぎ木の場合接いだ後の枝、台木の乾燥を防ぐため、テープを巻く、全体をビニールに入れるなどで乾燥を防いでください。サランラップでも構いません。

⑤どこのサイトにも記載がないですが台木の下部分のフラップ裏側にも形成層があり、穂木、芽の形成層と合わせると活着率が上がるはずです。比較試験をしていないので未だ仮説です。

接いだ苗はポット、プランターなどに植えてください。9月に接いだものは2,3週間後に、1月に接いだものは3月ごろ活着したかどうかわかります。

枝接ぎも芽接ぎも新芽が伸びてきて大きくなっても風により接ぎ口が剥離しやすいので秋までは必ず支柱を立てて保持してください。

 

枝接ぎ(接ぎ木)

接ぎ穂が充実する6月から、真夏を避けて2月までできます。希望の品種の穂木を取って台木に接ぎ木します。台木がネットで購入できるのは12月以降です。 台木、穂木の切り方はいろいろな方法がネットに出ていますが、基本的には形成層同士を合わせることです。

芽接ぎ

張り芽接ぎとT字芽接ぎは同じく芽を継ぐのですが台木の処置とその時期が違いますので区別、注意してください。

①T字芽接ぎは樹皮を形成層からはがすので台木の成長期5月~10月しかできません。はり芽接ぎは凍結させなければ冬でもできます。

②T字芽接ぎは芽の裏の白い木質部をはぎ取って、台木の形成層の”表面”に張ります。張り芽接ぎは形成層の”断面”どうしを合わせます。

T字芽接ぎが成功率が高いとの情報が多いのですが、これは形成層同士を”線”ではなく”面”を接合するからだと思います。5-10月は台木は購入できないので、台木を自分で育てないとT字芽接ぎはできません。活着率はそれほど変わらないようですからアマチュアの栽培家であれば12月~1月にはり芽接ぎか枝接ぎがいいと思います。

はり芽接ぎ

最低気温5度以上、最高気温30度以下、関東~太平洋側ですと6月、10月~1月に可能です。

いろいろ紹介されていますが台木の切り込みの大きさと形をはり芽の大きさ形に合わせるのが適切と思います。自然にお互いの形成層が合います。

メーデルテープが一番いいですが手に入らない場合、普通の芽接ぎテープでも構いませんが、活着後テープを外さないと成長するに従ってテープが食い込んでしまいます。

芽接ぎの画像です。

芽接ぎの画像です。貼る芽の形と台木を削った形が合っています。

テープを巻いて、台木の枝、頭をカットします。適当な鉢に植えつけ、凍らないところに保管します。